皆さま、こんにちは。
このところ日中は暖かい日が続いてますね。
今年はいよいよ暖冬でしょうか?
とは言え朝晩はだいぶ冷えますので、寝冷えなどしないように気をつけてくださいね。
今日は、実は栃木県のあるフリーペーパーに沖縄に関しての評論を寄稿させて頂くことになりまして、書き上げてみるとその内容が今回の2020ヤポネシア音楽祭に関してのコンセプトを期せずして象徴するものになりました。
ちょっと長くて硬い文章なのですが、そのまま転載させて頂きますね。
良かったら是非ご一読下さい!
以下、本文です。
沖縄〜進化するノスタルジア
沖縄の祭祀は御嶽(うたき)と呼ばれる各コミュニティの拝所への祈りから始まる。
特に琉球王朝時代からの聖地久高島では年間30もの祭祀が執り行われてきた。
祈願と感謝が交互に奉納される久高の祭りはニライ神という竜神が最高神とされ、ニライカナイと呼ばれるあの世とはつまり竜宮に他ならない。
この祭祀を司る巫女のような存在を古来から琉球ではノロまたはユタと呼び、人々の生活と切っても切れない重要な役割を果たしてきたのである。
ノロによる祈りから唄が生まれ、神への感謝の気持ちから舞踊が生まれた。
この神女=カミンチュ達の祈りを中心としたコミュニティのあり方は、奄美の女神であるウナリ神や、かつて明朝の鄭和も船の帆先に祀り航海の無事を祈願したとされる中国の馬姐信仰とも繋がってくる。
そして神への捧げものから発達したと言われる医食同源と呼ぶにふさわしい琉球料理の数々は我々観光客の目と胃袋を思う存分にみたしてくれる。
ウミンチュたちがはるかアジアの海の彼方から持ち帰った食材と調理法から彼らはチャンプルー(混合)という素晴らしい食文化を編み出したのである。
特に久高島のウミンチュがマラッカ海峡でモルジブのカツオ漁師から学んだとされる鰹節の薫製技術は鹿児島枕崎~関西へと伝わり今日の花カツオの源流となったとされている。
この沖縄を中心とした琉球弧の繋がりは、この現代において平和というキーワードを構築するうえで重要な示唆を含んでいるように思われる。
かつてウミンチュ達が作り上げてきた文化的な繋がり、そしてカミンチュ達が海洋アジアの諸地域と図らずもシンクロさせてきたシャーマニックな繋がりは、この現代に復活する可能性を大いに秘めていると言えよう。
沖縄をハブにアジアが文化的精神的に再び繋がることによって、この美しい海洋アジアから平和のメッセージが紡ぎ上げられることを私は信じてやまない。
沖縄の美しい海の風景は人々の優しい歓待の心そして美しい文化と交ざり合い、いつも私たちにノスタルジックな憧れを抱かせる。
それは私たちの記憶のかなたに眠るアジア的原風景に他ならない。
そしてその原風景は現在進行形で進化し、春夏秋冬いつ訪れようとも私たちをつねに優しく包み込んでくれるのである。
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