聖者アブラハム、というと”アブラハム〜は七人の子〜♫”というあの歌でご存知の方も多いと思います。
あの歌こそとっても素朴で牧歌的なメロディーですが、この聖者アブラハムという方は紀元前17世紀の聖人でして、イサク、ヤコブなど本当にその七人の子供達がその教えを受け継ぎ、後のユダヤ教、キリスト教、イスラム教を信奉する「啓典の民」の始祖になったと言われています。
この事実は人類がかつては一つの家族であったことを示す証拠であり、まさに人類の偉大なるグランドファーザーと言って良いでしょうね。
そのアブラハムのお墓が今もパレスチナのヘブロンという場所に現存してます。
パレスチナというとあまり皆さん良いイメージをお持ちではないでしょうが、かつてモーゼが約束の地=カナンと呼んだ実に美しく素晴らしい場所。
トップの画像のように僕が訪れた三月のヘブロンは梅や桃の花が咲き乱れまるで桃源郷のような雰囲気でした。
そんなヘブロンの「マカペラの洞窟」と呼ばれる場所に聖者アブラハムは眠っています。
ヘブロン市街からエルサレム旧市街のような美しい石畳の回廊を1キロほど歩くと、突如視界が開けて洞窟の入り口が見えてきます。
この洞窟の内部は炭素測定により本当に紀元前17世紀の遺跡であると推定されています。
お墓は今は上部の建物に移されていて、息子ヤコブや妻サラと一緒にアブラハムが眠っています。
ただ、不思議なことにユダヤ教徒とイスラム教徒で入り口が分かれているんですね。
なぜかと聞いてみると原理主義のユダヤ教徒がかつてここで銃撃テロをし相当数のイスラム教徒が亡くなってしまったのだとか。
実に悲しい出来事であると言わざるをえません。
つまり、です。
人類は最も大切な聖地を奪い合い、かつて人類が一つの家族であったことを示す偉大なグランドファーザーの墓前で兄弟喧嘩をしているのですから。
ただ、僕は彼らと共に祈りました。
かつて僕らは一つの家族だったのですから。
今は宗派に分かれているとしてもその成長と多様性を認め合い互いに分かち合える日が必ずくるはずだ、と。
そして、自分の身に置き換えても考えてみました。
隣国、アジア、そして近隣に住む方々。
日常に埋もれてかつては僕らは一つのファミリーであったこという事実を遠くどこかに置き忘れてはいないか?
人類は元々は一つの家族であり、遠く長い移動を重ねて今は再会のプロセスを踏んでいるのだと信じます。
世界中のいつどこで誰に出会っても、また会えて嬉しいという気持ちを笑顔で素直に伝えるようにしよう。
聖者アブラハムはその信念を僕に授けてくれました。
次回、パレスチナという光〜その3に続きます。
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